日本の教育の理想を探る すでに教育基本法は改正されてしまいましたが、それでもこの本の価値は失われないと思います。前半は、法律の条文を池田香代子さんが分かりやすく詩的に表現されています。後半の対談は、日本の教育行政の変遷(凋落?)に鋭くメスを入れるとともに社会に警鐘を鳴らしている。なかでも興味深かったのは、かつては教育委員会の委員が選挙で選ばれていたという事実。教育の中立性、民主制を果たす上で、この制度の復活は検討されていいと思う。
教育基本法を考える ここ数年、自己中心的な若者、犯罪の低年齢化、学級崩壊など教育制度の有り方そのものが問われている。そして最近新聞上でも話題になった基礎学力の低下等により教育改革、及び教育基本法改正が論議されている。そんな中、教育の現場に携わる者として、学生と共に教育問題を考えてたい、それにはまずその基礎となる教育基本法とは何かというところから始めようと探していた時に見つけた本である。 分かり易い言葉、心和む挿絵で教育基本法そのものの理解を助けてくれる本である。そこに描かれている教育理念は、小学校高学年、中学生でも十分理解し楽しめる内容となっており、子供達が主体的に教育を考え主張する一助となる本といえよう。また後半では教育基本法の成立における背景についても考察されており、時歴的な意義を考える上でも参考となるであろう。
教育の原点 『戦争のつくりかた』と『世界がもし100人の村だったら』を書いた2人の著者がわかりやすく理解できるようにと教育基本法に関する一冊の本を書いた。題名の11とあるのは教育基本法の条文が11条から構成されていることを示している。帯には「本気で教育を考えたいと思う、すべての子どもとおとなに一冊の本をおくります」とあるように、とにかくわかりやすい。法律だからといって難しいところは全くといっていいほどない。 前半部は教育基本法の条文をわかりやすい言葉におきかえたもの。筆者の表現方法がうまいからなのか内容に説得力を感じた。後半部は2人の著者が教育について語り合うという構成。戦前の軍国主義教育に対する反省の上に立って、現在の教育基本法があることを示し、この法律が変えられる前に現実に生かされるべきと主張している。 この法律は「あらゆる場で、あらゆる機会に」と規定しているように教育される場所を学校の場に限っていない。そのため図書館、博物館、公民館などあらゆる場所で、この法律の理念が実施されている。実際に読んでみると教育基本法の理念は非常にわかりやすく、共感できる。その理由は教育というものを考える際に忘れてはならないポイントが記されているように感じたから。巻末に記載されている教育基本法の条文と比較して読んでも面白い。
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